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気になるHIVの治療法とは?治すことはできるのか

2019年10月28日

HIVに感染をすると、無症状の間にも血液中にウイルスが増殖して免疫力が徐々に弱まります。もしも病原体の増殖を抑制して免疫力の回復をすることができれば、日和見感染症や悪性腫瘍などのエイズ特有の症状の発症を防ぐことが可能になります。

梅毒やクラミジアといった性病は細菌感染で起こる病気なので、抗菌剤(抗生物質)を服用することで体の中の病原菌を死滅させることが可能です。これに対してエイズはHIVウイルスによって起こる病気なので、抗菌剤を使用しても病原体の増殖を防ぐことはできません。一部の病気は抗ウイルス薬で治療ができますが、HIVウイルスは遺伝情報が変異しやすいのですぐに薬剤耐性を獲得してしまい、薬が効かなくなってしまいます。このため1990年代前半頃まではエイズの治療薬が存在せず、不治の病でした。

現在はメカニズムの異なる複数の抗HIV薬が開発され、これらを組み合わせて使用する多剤併用療法が確立しています。多剤併用療法により、体内でHIVウイルスが増殖するのを防ぐことが可能になりました。抗HIV薬を組み合わせた多剤併用療法によりHIVウイルス量が激減し、免疫力の回復効果が得られます。免疫力を回復させればエイズの発症を抑制できるため、治療を続ける限りは健常者とほぼ同じ生活を送ることができる場合もあります。

多剤併用療法の確立によってエイズは不治の病ではなくなりましたが、現在も病原体を完全に死滅させて完治させることは不可能です。HIV治療の目的は薬によってウイルスの増殖を抑制して、体の免疫力が低下しないようにすることだからです。服薬を途中で中止したり、ウイルスが薬に対して耐性を持つと発症してしまいます。発症を抑制して死なないようにするためには、生涯にわたり薬を服用し続けなければなりません。

抗HIV薬を組み合わせて服用する多剤併用療法でも病原体が薬剤耐性を持ちやすいことに変わりはなく、薬が効かなくなるリスクがあります。1~2回でも薬を飲み忘れるだけでウイルスが耐性を持ってしまう恐れがあるので、HIV治療は患者が毎回欠かさずに薬を服用し続けることが非常に重要です。もしも薬を飲み忘れてしまうと、生涯にわたり同じ薬が効かなくなってしまうからです。使用可能な薬の種類は限られているため、薬の飲み忘れや誤った使用をすることは非常に危険です。HIV治療を成功させる鍵は、患者自身が病気を理解して主治医と協力しながら治療を続ける、服薬アドヒアランスを良好に保つことです。HIV治療を開始したら毎回欠かさずに薬を飲み続けることが極めて重要なので、事前に服薬アドヒアランスのための準備が行われます。これには治療場所や家族のサポート体制を確立させることや、キャンディなどで服薬のトレーニングをすることも含まれます。